野球にハマったど素人が気まぐれに更新するブログ

野球未経験ながら野球の面白さにどっぷりハマった筆者が茨城野球中心に気まぐれに更新していく野球ブログです。茨城の球場に出没。G-TIMESにて野球記事を執筆しています。

名将と名伯楽が作り上げた「YOKOHAMA」ブランドを引き継ぐ平田監督が新横浜伝説を作れるか!

栄光より挫折、成功より失敗、勝利より敗北

約半世紀近く、横浜高校を率いた渡辺元智氏。春夏通算5度の全国制覇を成し遂げ、今でこそ全国を代表する名門ですが、50年の指導歴は華々しいものだけではありませんでした。

横浜高校の監督になったのは24歳の時で、当時は”しごき”、”根性野球”といった理屈のない指導が流行っていました。渡辺氏も同様の指導をしてきましたが、「このままでは原貢氏(東海大相模元監督)を超えることはできない」と指導の内容を変えていきました。

厳しい練習に耐えかねて、故郷に泣きじゃくる選手を説得したり、自殺をほのめかすサインを出してきた選手を必死に止めることもありました。今の「栄光、成功、勝利」に辿り着くのは簡単なものではありませんでした。


数々のプロ選手を輩出した育成力

プロ入りした教え子は50人を超えているという渡辺元智氏。その中でも、夏の甲子園決勝でノーヒットノーラン達成、メジャーでも活躍を見せた”松坂大輔”選手(西武入団)や、今や球界を代表する主砲に成長した”筒香嘉智”選手(横浜入団)、プロでも活躍を見せている”涌井秀章”選手(西武入団)、”成瀬善久”(西武入団)が代表的です。

名門である以上、常に全国優勝と向き合わなくてはならない横浜高校は、たとえ優勝できる条件が揃っていなくても、常にそういう気持ちでトライする人間性を重んじています。そして、頂点に上り詰めたら一度下り、新たな心構えを持つことが強さの秘密です。


渡辺・小倉の名コンビで名門横浜は誕生した

横浜高校は、技術論と人間論の二つのアプローチをしています。技術面を教えるのは「名伯楽」として有名な横浜高校元コーチの”小倉清一郎”氏で、あの松坂大輔選手も小倉氏が発掘し、甲子園春夏連覇の大エースに育て上げたのは有名です。

小倉氏は対戦校の投手陣や打線を徹底的に分析する「参謀」として知られ、対戦校の特徴を事細かに記されたノートは「小倉ノート」言われており高校球界でも有名です。

一方、渡辺氏が教えるのは人間力で、横浜高校の野球しかしらない選手達のために、政治家や企業家など異業種との交流を図り、考え方を吸収し選手達に伝えていきます。伝えていくことによって、視野を広げ、いろんな角度から物事を見れるようになります。

横浜高校の選手達の「技術力と人間力」を伸ばしていくのに、渡辺氏と小倉氏の二人三脚での指導がなければ、今の横浜高校はなかったでしょう。



二人同時に辞めてしまったら、チームが混乱してしまう
「参謀」として長年、陰ながら渡辺氏を支えてきた小倉氏が70歳を区切りに勇退。当初は、渡辺氏も小倉氏と一緒に辞める予定でした。しかし、「私を慕ってきて来てくれた選手もいるから、簡単に辞められない。」さらに、「小倉と一緒に辞めたらチームが混乱してしまう」とチームに残ることを決めました。

翌年、最後の指揮を執ることになる夏の大会では、県決勝で後に、甲子園を制覇する東海大相模に敗れましたが、チームを受け継ぐ後輩達からは、「来年以降は渡辺監督がいなくても大丈夫」と頼もしい声が上がっていました。

数々の名言を生んだ名将、そしてそれを実行した松坂大輔

渡辺氏は監督人生の中で数々の名言を残しました。その中でも、「目標がその日その日を支配する」は有名ですね。渡辺氏は、2年夏時、県予選決勝で敗れた松坂選手にこの言葉を送りました。

この言葉を大切にした松坂選手は、自身の目標を【甲子園出場】から【甲子園優勝】に変え、それ以降の練習の取り組み方も変わっていきました。その結果が、高校3年での甲子園春夏連覇に繋がりました。

歴史に残る春夏連覇は、松坂選手だけでは成し遂げることはできなかった、あの時の負けた悔しさ、渡辺氏のあの言葉があったからこその春夏連覇でした。

新生横浜高校の伝説の始まり

2015年夏に渡辺元智氏が横浜高校監督を勇退し、監督を受け継いだのが前部長を務めていた”平田徹”現監督。2006年に同校コーチに就任し、2010年に野球部部長になりました。渡辺氏・小倉氏の下で10年近く、野球部に携わっており、監督を受け継ぐのは自然な流れでした。

[これまで常にベンチにいた渡辺監督と小倉部長はもういない]それでも平田新監督は平常心で臨むことを心がけています。横浜高校は、常に勝つのが当たり前のチーム。短いスパンで、しっかり結果を出すことが求められます。

平田監督が就任しての新チームは、秋季大会で東海大相模を圧倒。「渡辺チルドレン」が残り、エースである最速151㌔右腕”藤平尚真”投手に注目が集まっています。渡辺・小倉イズムを伝承した平田監督。この夏、新しい横浜伝説の始まりに目が離せません!

線が細かった技巧派左腕が進化!常総のエースナンバーを背負い続けるプロ注目左腕が迎えるラストサマー

デビュー戦が県準決勝!1年生ながら強心臓ぶりを見せた鈴木昭汰

初めて見たのは鈴木が入学したばかりの、春季茨城県大会準決勝vs水戸工。この日は、常総の仕上がり具合と母校である水戸工が対戦するということで足を運んだ。中学で日の丸を背負った投手が常総に入学したのは聞いていたが、まさかここで先発してくるとは思わなかった。

春季茨城県大会準決勝
常総学院3-0水戸工
この日がデビュー戦となった1年生の鈴木昭汰。1年生とは思えない風格。125〜132㌔程のキレのある直球とスライダーを上手く使い分け、水戸工打線を打たせて取る投球を見せる。何度もピンチを背負いながらコーナーを上手く使った投球で3 2/3イニングを無失点で抑え、チームも茨城屈指の左腕後藤擁する水戸工から3点を奪い3-0で快勝した。この時の鈴木の印象はコーナーを上手く使う技巧派左腕という印象で、どう育っていくのだろうかと思っていた。

夏の茨城県大会準決勝
藤代5-1常総学院
この日は途中から水戸市民球場に参戦。すでに藤代にリードされている展開だった。注目の1年生鈴木は8回裏に登板。5点目となる1点を失ったが、やはり1年生とは思えない堂々とした投球は素晴らしいものだった。

1年秋から常総のエース。下級生エースが奮闘し上級生にも刺激
1年秋からエースナンバーを背負った鈴木。秋の関東大会では、初戦の佐野日大戦で1失点完投。続く平塚学園戦で好リリーフを見せ、見事センバツ出場を勝ち取った。2番手の樫村、菅原、井上も他チームでは背番号1を付けててもおかしくないレベルだ。

センバツ準々決勝
大阪桐蔭5-3常総学院
一冬越えて、心身ともにパワーアップした鈴木。球速も最速140㌔前後に上がり、コントロールも上がってるように見えた。内外を上手く使う従来の投球に力強さが備わり、簡単には打たれない投手になってきた印象だ。結果的には5失点したが、大阪桐蔭相手でもコーナーを攻め、強気の投球で打たれた印象を残さなかった。しかし甘く入った球を確実に仕留める大阪桐蔭はさすがだと感じた。

1年の時とは見違える成長を見せた2年夏、そして横浜を倒した秋。
センバツ8強入りし、夏の県大会で優勝候補筆頭の常総学院だったが、県4回戦で東洋大牛久に敗れ、早くも幕を閉じてしまう。しかし、敗れた中で鈴木の投球は見事なものだった。満塁のピンチに登板し決勝犠牲フライを打たれたものの、それからは伸びのある直球とスライダーで三振を量産。昨夏は制球力で勝負していたのがこの夏は、意識して力で打者を抑えられる球威を身につけていた。すでにこの時点で、茨城No. 1左腕を名乗れるほどの力を持っていると感じた。

2年連続で迎えた秋の関東大会は、初戦で優勝候補の横浜相手に10奪三振1失点完投。続く日本航空戦では、打たせて取る投球で1失点完投。決勝こそ木更津総合に敗れたが、今度こそセンバツ優勝。そう思わせてくれる活躍ぶりだった。

センバツ1回戦
鹿児島実6-2常総学院
テレビ観戦だったのであまり細かく言ってもあれなんだが、初回の鈴木の投球は、物凄いものだった。直球、縦のスライダーは松井裕樹(桐光学園楽天)を彷彿させるほどのキレがあるように見えた。「これはいける!」と確信してしまったほど笑。しかし、結果的には8回4失点。力で勝負し甘く入った球を打たれ、コーナーを突くも四死球で崩れてしまった。失点してからは、思い切りの良い投球が出来ていたように見えたかな。鹿実打線もしっかり鈴木対策をしてきた。相手を褒めるしかない。

春に負けて良かったと思える夏に
1年時は線が細く制球で勝負していた投手が、今は最速140㌔を超える直球と多彩な変化球を身につけた。そして持ち前の制球力は健在だ。さらに、秋の関東で1番、センバツで5番を務めるなど打撃センスも光る。素材的にも大学というよりプロ向きではないか。1年夏から2年夏での進化した姿に驚かされた去年。そして最後の夏となる。今年はセンバツの悔しさを胸にどれほどの進化をしているものか。非常に楽しみ。自身も2年連続で夏の甲子園を逃している。3度目の正直で今度こそ夏の甲子園へ。JOSOのエース 鈴木昭汰のラストサマーが開幕する。写真は2年秋

進化した剛腕。夏には茨城No. 1右腕になれる素材。

夏の県大会2回戦土浦日大戦で敗れるも、荒々しくも豪快なピッチングで、筆者に大きなインパクトを与えたつくば秀英の”長井良太”投手。今回は秋の大会の投球について書きたいと思う。

秋の茨城県大会1回戦
石岡一2-1つくば秀英(延長13回)
この日は、つくば秀英のエース長井が、近年上位に進出する県立の雄 石岡一相手にどんな投球を見せるのか気になり足を運んだ。

まず石岡一。シートノックだけを見ても、夏の新人戦で常総学院に大敗したチームとは思えない完成度の高さ。負けてから、今のままでは全く通用しないと意識が変わってきたのだろう。注目したいのはハイレベルな守備。間違いなく常総霞ヶ浦に匹敵する安定感を持っていると感じた。

試合が始まる。つくば秀英 長井の立ち上がりは、いきなり石岡一先頭打者の大野に二塁打を浴び、犠打で1死3塁。ここで石岡一のサインミスか3塁走者が飛び出してしまうのだが、つくば秀英の捕手 後藤が暴投。守備の乱れで早くも先制点を献上する。まだ長井の球は走ってないように見えた。

対する石岡一の先発 高崎は右左関係無くしっかり内角を突ける制球力抜群の右腕。狙って三振も取れるし完成度が高い投手。夏までにもう少し球速が伸びてくれば県内屈指の右腕に成長するのではと思う。

3回までは思い通りの投球ができていなかったように見えた長井だが、3回からようやくエンジンがかかったのか、140㌔を軽く超えているのではないかという直球をビシビシ投げる。

しかも夏にあった荒々しく不安定な姿はもうない。夏よりも断然制球力が上がっている!こんな短期間の間に成長するものなのかと驚いた。コントロールが乱れ、四死球を多く出してしまう。本格派投手にありがちなものだと思っていた。しかししっかりとこの秋に修正してきている。しかもこの試合で最速149㌔をマーク。試合は延長13回で石岡一に敗れたが、成長を見せた秋だった。

激闘を制した石岡一は準々決勝で、常総学院相手に敗れるも0-2と健闘した。茨城No. 1左腕として君臨する常総のエース鈴木を打ち崩すことはできなかったが、ハイレベルな守備力とエース高崎の完成度の高さは県内トップレベルだろう。迎える春、夏に優勝してもおかしくない実力を確かに持っている。石岡一 高崎つくば秀英 長井

進化を見せた秋。一冬越えて怪物に。

短期間の間に課題だった制球力を伸ばし、さらに直球は最速149㌔を記録したつくば秀英の長井。短期間でこれだけ伸びるのなら、伸びしろはまだまだあるだろう。気が早いが、夏には大台の150㌔以上を計測できる素材。霞ヶ浦の綾部に匹敵するかそれ以上の可能性を秘めている。野球好きな皆さんにも一度見てもらいたいと思う。

偶然見つけた未完の大器。つくば秀英の2年生大型右腕

夏の茨城大会2回戦
つくば秀英3-5土浦日大

土浦日大のエース右腕大森の粘投で、つくば秀英打線を3点に抑え逃げ切ったゲーム。この日私は、1回戦で日立工相手に6回ノーヒットノーラン、練習試合でも三振を量産してきた、つくば秀英の140超えのサイド右腕”野澤佑斗(つくば秀英→ソフトバンク育成1位)”投手が土浦日大相手にどんな投球を見せるのかと気になり、水戸市民球場へ足を運んだ。早く出たつもりが駐車場はすでに満車、やむなく臨時駐車場へ止めることに笑。

茨城のドクターKと言われる野澤投手を観るのはその日が初めてだったが、初戦の5イニング無安打投球はフロックじゃないなと思った。右サイドから135㌔〜140㌔の速球をバシバシ投げる本格派で、1.2回をしっかり抑える。しかし3回裏、土浦日大打線が爆発し一気に5点を失う。つくば秀英は序盤のチャンスで得点できず、流れを掴めていなかった。ここで一気に土浦日大が流れを掴んだ。

4回裏、3番手で出てきた”長井良太”投手の1球目。かなり速い。先発した野澤投手より間違いなく速い球を放っている。これだけの速球を投げてまだ2年生なのか?!140㌔超えてるでしょ!?速球だけを見ても2年生でこれだけの好投手がいたのか。本当に驚いた。しかも、その回は牽制で2度走者を刺した。牽制のレベルも高い。

しかし、制球はまだまだだなという印象で、リリーフした4回裏も四球で出し牽制で刺す、四球で出し牽制で刺す。これはどうなんだろうか…と思いながら観ていた笑。長井投手が登板してからの土浦日大打線はほとんど的を絞れず、長井投手の放る快速球を捉えられずにいた。四死球こそ目立ったものの無失点で最後まで投げ抜いた。

この試合でなんと145㌔をマークしていた長井投手。課題こそあるものの、まだ2年生。筆者に与えたインパクトは絶大なものだった。今まで見てきた中でも2年生でこれだけ速い球を放る投手は見たことがなかった。ドラフト候補だった野澤投手の陰に隠れていた2年生の大型右腕がベールを脱いだ。

続く